このWeb教材は、子ども(幼児・児童)の構音障害における語音弁別力のトレーニングのために開発しました。
子どもの構音障害の多くは、語音弁別力が十分育っていないことが一因となっていることが多いようです。一般的な指導方法としては、指導者(STやことばの教室の教師など)が直接発音して聞かせますが、Web教材化することにより、子どもがより関心を持って取り組んでくれるのではないかと考えました。
註)構音障害: | 発語器官ないし音声器官の構えや調節作用の異常のため、話ことばの特定の語音が正しく発音されず、ある程度まで習慣化している状態のこと |
語音弁別力: | 人の話しことばの音を聞き分ける力 |
ST: | 音声機能、言語機能、聴覚に障害のある人の訓練、検査や助言、指導などを担当する専門職 Speech Therapist(言語聴覚士)の略 |
ことばの教室: | 通常学級に在籍したまま、通級という形で言語の指導を行う教室 正式名は「言語障害通級指導教室」 |
子どもの構音障害の中でも出現率の高いS音(サ・ス・セ・ソ)とK音(カ・キ・ク・ケ・コ)を対象とし、課題音の位置を以下のように変化させてトレーニングを行えるようにしました。
この教材には以下の単語が登録してあります。
(語頭) | (語中) | (語尾) | |
---|---|---|---|
カ: | カラス | ミカン | シカ |
キ: | キツネ | ユキダルマ | ツミキ |
ク: | クレヨン | ラクダ | ヨウフク |
ケ: | ケンダマ | トケイ | タケ |
コ: | コマ | ヒコウキ | ネコ |
サ: | サカナ | ウサギ | カサ |
ス: | スイカ | テスト | リス |
セ: | セミ | フウセン | シアワセ |
ソ: | ソラ | エンソク | シーソー |
この教材では、課題音の位置が違う単語を用意してありますので、子どもの実態に応じてトレーニングを行うことができます。また、トレーニングは、画面に出てくるイラストの名前が正しく聞こえたかどうか、○か×で答える形式になっています。課題音は、正しい音と間違った音がランダムに提示されるようになっています。間違った音については、構音障害として比較的よく現れるタイプを課題音ごとにいくつか選んであります。
例)評価では、子どもが正しく選ぶことができたか、子ども自身がすぐわかるように、1回ごとに結果が表示されます。また、[成績]の箇所をクリックすると、今までの学習の結果が表示されるようになっています。
WindowsではIE6.0, NN4.78で動作を確認しました。
湧井 豊: 音の出し方とそのプログラム 構音障害の指導技法, 学苑社, 1992.