2011.9.18-

在宅吃音訓練システム
(DAISY風テキストリーダーを使用)

小山内筆子(弘前医療福祉大学)
小山智史(koyama88@cameo.plala.or.jp)

 合成音声を用いた在宅吃音訓練システムです(システムの詳細は文献[1][2]、在宅吃音訓練の詳細は文献[3]~[12])。DAISY風テキストリーダーを利用しており、Edge (Windows), Chrome (Windows, Android), Safari(iOS), Firefox (Windows) などのブラウザで利用できます。Chromeの場合、インターネット回線が遅いと動作が緩慢になることがありました。有線またはWi-FiのLAN接続環境で利用するのがいいようです。

表1 訓練用教材の概要
訓練用ページ内容備考
単語50音 あし アイス あいさつ ... 文献[13]の一部に読み修正データを付加して作成しました。
(小林宏明先生の許可を得て使用しています。)
あ行~ら行
か行~た行(行シャフル)
かう かお かき かさ ... 行シャフルは練習の慣れを回避したい場合に使います。
文献[14]の一部に読み修正データを付加して作成しました。
(岡崎恵子先生の許可を得て使用しています。)
むくどりのゆめ 野原の ふとい 栗の木に ... 文献[15]の一部に読み修正データを付加して作成しました。
日常会話 仕事編 会議の開催日について分かったら ... 対象者のニーズに合わせてテキストを変更して使います。
日常会話 電話編 もしもし。弘前大学でございます。 ... 電話の応対の練習に特化した内容で、通話相手の声を変えて練習できます。
対象者のニーズに合わせてテキストを変更して使います。
パソコンで利用する場合は、ハンドセットタイプのスピーカを使うと実際の電話応対に近い練習ができます。


1. 基本操作

 図1は訓練用ページをブラウザで表示した様子です。パソコンの場合はF11キーを押してキオスクモード(全画面モード)で使うといいかもしれません。


図1 ブラウザの表示画面

 基本操作はページ上部で行います。

表2 基本操作
訓練用テキスト(ファイル)を選択します。 「あ」行 「か」行 ... がそれぞれのテキストファイルに対応しています。予めサーバに用意されたテキストの他、新規にテキストを追加することができます。
ページ(章)選択
(「か」行 1「か」文 ... )
図1の例では、 「か」行 はタイトル(テキストの先頭)、1.「か」文 は1ページ目(第1章)に相当します。いずれかを選ぶと、その内容が画面に表示されます(図1は「か」文)。
このボタンを押すと表示中の内容が合成音声で読み上げられ、読み上げ箇所がハイライト表示されます。で読み上げが停止します。
なしフレーズ読, ページ読, 通読 から選択します。 フレーズ読 はマウスでポイントした箇所を読み上げます。 ページ読 はページ(章)(図の例では 「か」行 )の終わりまで読んだら読み上げを停止します。 通読「か」行 が終わると 「き」行 というように、次のページ(章)を表示し読み続けます。
表示色や読み上げ音声の設定などを行います。詳しくは次章。

2. 設定操作

 ページ上部のを押すと、設定画面が現れます(図2)。


図2 設定画面

 設定操作は表3のように行います。

表3 設定操作
背景画面全体の背景色を指定します。
強調ハイライト箇所の背景色を指定します。
縦横縦書き/横書きを指定します。
テキスト欄



[テキスト欄]には現在表示中のテキストの「元データ」が表示されているので、ここで、内容や読み誤りを修正したり、新規テキストを入力したりできます。
を押すと[テキスト欄]がクリアされます。
を押すとパソコン上のテキストファイルを[テキスト欄]に読み込むことができます。
を押すと[テキスト欄]の内容が保存され表示に反映されます。ただしサーバテキストの内容を変更することはできません。
を押すと[テキスト欄]の内容がローカルテキストとして新規保存されます。
 以下は典型的な操作です。
(1) 新たにテキストを入力して追加登録したい場合は、→[テキスト欄]にテキスト入力→とします。
(2) パソコン上のファイルを追加登録したい場合は、とします。
(3) スマホの場合は、追加登録したいファイルをパソコンからスマホにメール添付で送り、スマホでこれを保存します。Gmailアプリの場合、Androidスマホでは「Download/email」、iPHONEでは「このiPHONE内」に保存されるようなので、これをで追加登録します。
(4) 読みの修正など、テキストの一部を変更したい場合は、[テキスト欄]の修正→とします。サーバテキストを修正したい場合は [テキスト欄]の修正→で修正したテキストを追加登録します。
(5) 追加登録したテキストはブラウザに保存され、「同じパソコンやスマホの同じブラウザで利用する限り」ずっと使い続けることができます。
(6) 追加登録されているローカルテキストを削除したい場合は、とします。
通常はテキストを「標準話者」の声で読み上げます。テキスト冒頭に「話者:太郎,花子」のように記載しておくと、「標準話者」の他に「太郎」「花子」を選択できるようになり、それぞれの話者について、速さ音程を設定できます。テキスト中で部分的に声を変えることができます。
話者ごとに読み上げ音声を選択します。利用できる音声はブラウザによって異なります(表4)。声の質だけでなく、読み誤りやイントネーションも異なるので、注意が必要です。
速さ話者ごとに読み上げ速度を設定します。
音程話者ごとに音程(ピッチ)を設定します。
減衰「減衰読み」の減衰量を時定数で指定します(減衰読みについては文献[9][10]などを参照)。

表4 利用できる音声
OSブラウザ日本語音声 英語音声
WindowsEdge Ayumi
Haruka
Ichiro
Chrome Haruka
日本語
Zira
US
UK female
UK male
FirefoxHaruka Zira
Android Chrome 日本語 日本 英語 イギリス
英語 アメリカ合衆国
iOS Safari Hattori
Kyoko
Aaron
Fred
Nicky
Samantha
O-ren
Alex

3. 読み上げテキスト

 図3は表1の中の「か行」(ka.txt)の内容を示したもので、テキストエディタで作成できます。作成したテキストファイルをで読み込み保存しておけば、予めサーバに用意されたテキストと区別なく利用することができます。


図3 吃音訓練用テキストの例(「か」行 および 電話練習用)

 テキスト中の見出しの抽出と本文の分割、フレーズの抽出は自動で行われます。フレーズは、「、。」「,.」「,.(英文)」を区切り文字として扱い、ハイライト表示および音読の区切りになっています。

 「減衰読み」の場合はフレーズ中のスペースを区切りとしたセグメント毎に減衰します。ただし、話者指定した箇所には減衰読みは適用されません。これにより、電話応対の練習の際に通話相手の声が減衰することはありません。

 レイアウトの乱れを改善したい場合は、テキストファイルを修正します。読み誤りを修正したい場合は、「☆読み☆よみ☆」のようにテキスト中で読みを指定します。逆に、ひらがなで表示したい際にイントネーションが不自然になってしまう場合は、「☆よみ☆読み☆」のようにすると改善されることがあります。読み方はブラウザによって異なる(表4)ので、注意が必要です。イントネーションやアクセントを明示的に指示することはできません。

 テキスト中では表3のルールを利用できます。

表5 テキスト中で適用されるルール
  • 「#」から始まる行はコメントとして扱われます。
  • 先頭行はタイトル(コメントや空行や右寄せや話者指定を除く)として扱われます。
  • 「ルビ対象文字列《ルビ文字列》」または「‘ルビ対象文字列‘ルビ文字列‘」でルビが表示され、ルビで読み上げられます。
  • 「一」「1....」「1 ...」などの行は見出し(章・頁)となります。行頭の「*~******」「■□◆◇●○」も見出しの目印となります。
  • 読み誤りやイントネーションの修正は、テキストの冒頭または文中で行うことができます。テキスト冒頭に「#表示文字,音声文字」の行を(何行でも)置くと、以後「表示文字」「音声文字」で読み上げられます。また文中で「☆表示文字☆音声文字☆」と記載すると「表示文字」「音声文字」で読み上げられます。かなを漢字表記にすると自然な読み方になることがあります。
  • テキストの冒頭に「#話者:太郎,花子」のように「話者」を定義しておくと、「太郎:おはよう。」の行は「太郎」の声で「花子:こんにちは。」の行は「花子」の声となります。実際の声の設定は設定画面で行います。
  • テキスト中に「行シャフル」の文字があると、ページ(章)中の行がシャフルされます。
  • テキスト中に「列シャフル」の文字があると、行の中の並び(区切り文字はスペース)がシャフルされます。
    行シャフルと列シャフルは組み合わせて用いることができます。


(参考資料)

[1] 小山智史: テキストファイルをDAISY風に表示するリーダーの開発, 電子情報通信学会福祉情報工学研究会資料, WIT2011-89, pp.107-112, 2012.
[2] 小山智史: DAISY風テキストリーダーの開発, 弘前大学教育学部紀要, 108, pp.163-169, 2012.
[3] 小山内筆子, 小山智史:遠隔地の吃音指導のニーズと合成音声を用いた在宅訓練の提案, 電子情報通信学会福祉情報工学研究会資料, WIT2012, 2013.
[4] 小山内筆子, 小山智史:成人吃音における合成音声を用いた音読訓練 ---その効果とコミュニケーション態度の改善---, 日本音響学会2013年春季研究発表会予稿集, 2-7-7, 2013.
[5] 小山内筆子, 小山智史:成人吃音1例を対象とした合成音声を用いた音読訓練, 第2回日本小児診療多職種研究会資料, 2013.
[6] 小山内筆子, 小山智史:成人吃音者1例における合成音声を用いた在宅訓練---1年間の吃症状の改善---, 電子情報通信学会応用音響研究会資料, EA2013-41, 2013.
[7] 小山内筆子, 小山智史:吃音訓練における発話速度調整の重要性についての検討---合成音声を用いた在宅訓練を通して---, 第1回日本吃音・流暢性障害学会, 2013.
[8] 小山内筆子, 小山智史:長期的支援における成人吃音1例のコミュニケーション態度の変容---言語訓練と在宅訓練による効果の検証---, 日本コミュニケーション障害学会, 2015.
[9] 小山内筆子, 小山智史:成人吃音を対象とした合成音声を用いた在宅訓練の予備的検討---吃症状および心理面に改善が認められた成人吃音の1症例---, 音声言語医学, 56(3), pp.236-243, 2015.
[10] 小山内筆子:成人吃音における合成音声を用いた在宅吃音訓練法に関する研究, 弘前大学地域社会研究科 学位論文, 2016.
[11] 小山内筆子, 小山智史:合成音声を用いた在宅吃音訓練におけるポーズに着目した吃症状の検討, 電子情報通信学会教育工学研究会資料, 2016.
[12] 小山内筆子, 小山智史:合成音声を用いた在宅吃音訓練におけるポーズに着目した吃症状の検討(第2報), 電子情報通信学会教育工学研究会資料, 2017.
[13] 小林宏明: 学齢期吃音の指導支援, 学苑社, 2009.
[14] 岡崎恵子, 船山美奈子(編著): 構音訓練のためのドリルブック 改訂第2版, 協同医書出版社, 2006.
[15] 田口恒夫編: 新訂言語治療用ハンドブック, 日本文化科学社, 1997.


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