2000.11.6 -

1 finger リモコン
(なんでもリモコン 2)

小山智史

1. 概要

 1個のスイッチで操作する赤外線リモコンです。操作スイッチは、メカニカル接点スイッチまたはタッチスイッチが利用できます。TVやビデオはもちろん、大概の赤外線式のリモコンの代わりとして利用できます。最大16個のリモコン信号を登録できます。

(旧版との比較)

 「1 fingerリモコン(なんでもリモコン2)」と「なんでもリモコン(旧版)」の比較を下表にまとめました。

 基本的な使い方は同じですが、

などの点が改良されています。

旧版との比較
1 finger リモコン
(なんでもリモコン2)
なんでもリモコン(旧版)
使用マイコン ATmega328P SeeeduinoXIAO ATtiny2313/4313
電源 電池(単4×2) ACアダプタ ACアダプタ
登録可能な信号 ほとんどのリモコン信号
(エアコンなどの特殊なリモコン信号を除く)
予め登録された90個のリモコン信号
最大登録信号数 16(8×2グループ) 8
スキャンの移動時間 1秒または1.5秒 1秒
操作スイッチの数 1個または2個1個
接続するスイッチ 各種センサ・接点式スイッチなど
タッチスイッチ -
先送り操作 -

2. 使い方(「スイッチを押す」は、タッチ式では「電極に触れる」と読み替えてください)

[通常の操作]

 通常は、上の写真のように1個の外部スイッチ(スイッチA)を接続して利用します。2個のスイッチ(スイッチAとスイッチB)を接続することもできます。

 スイッチAを押すと、その後1秒毎に「ドーレーミー...」のように音が変わります。その途中でスイッチを押すと、音に対応するリモコン信号がTVなどに送られます。

 スイッチAを長押し(ピッの後に離す)すると、1オクターブ高い「ドーレーミー...」の音になります。その途中にスイッチを押すと、音に対応するリモコン信号がTVなどに送られます。

 「ドーレーミー」が待ちきれない時は、スイッチをトントントンと続けて押すと、先に進みます(先送り操作)。

 スイッチBを押すとスイッチAの長押しと同じ動作になります。2つのスイッチを操作できる場合は、2つの機器を操作する場合に便利だと思います。

[信号の登録]

 スイッチAを長押し(ピッピッの後に離す)すると、「ドッ」の音がし、更にスイッチを押すと「レッミッ...」となります。それぞれの箇所で「リモコン登録」の窓に向けて登録したいリモコンのボタンを押します。「ピッ」の音がすれば登録成功です。無音または「ピピッ」の音がした時は再度リモコン操作をしてください。
 また、「ミッ」のところでスイッチを長押しすると操作時のスキャンは「ド~ミ」の3個になります。また3秒放置すると登録は終了します。登録は何度でも行えます。

 スイッチAを長押し(ピッピッピッの後に離す)すると、1オクターブ高い「ドッ」の音がし、以後は上記と同様です。

 以下はTVリモコンの信号登録の例です。これに加えてレコーダーなど他の装置の登録を行う場合は、1オクターブ高い音に割り当てると便利です。

TVリモコンの信号登録の例
リモコンボタン登録操作
(1) スイッチAを長押し(ピッピッの後に離す)する
電源(2) 「ドッ」の音がしたら、「リモコン登録」の窓に向けてリモコンの「電源ボタン」を押す
チャンネルアップ(3) スイッチを押し「レッ」の音がしたら、「リモコン登録」の窓に向けてリモコンの「チャンネルアップボタン」を押す
チャンネルダウン(4) スイッチを押し「ミッ」の音がしたら、「リモコン登録」の窓に向けてリモコンの「チャンネルダウンボタン」を押す
ファ 音量アップ(5) スイッチを押し「ファッ」の音がしたら、「リモコン登録」の窓に向けてリモコンの「音量アップボタン」を押す
音量ダウン(6) スイッチを押し「ソッ」の音がしたら、「リモコン登録」の窓に向けてリモコンの「音量ダウンボタン」を押す
(7) スイッチを長押し(ピッの後に離す)し、スキャンを「ド~ソ」の範囲にする

[移動の時間]
 電源投入時は「ドーレーミー...」の移動時間は1秒になっています。スイッチAを長押し(ピッピッピッピッの後に離す)すると、1.5秒になります。もう一度同じ操作をすると、1秒に戻ります。

3. 製作例(写真は「なんでもリモコン(旧版)」です)

外観写真 電極一体型の外観写真

 左の写真は、外部スイッチタイプです。ジェリービーンスイッチなどのメカニカル接点式スイッチ、またはタッチスイッチ電極(写真)を接続して使います。

 右の写真は、本体とタッチスイッチ電極を一体にしたタイプです。フレキシブルシャフトの先に電極と赤外線LEDを取り付けてあります。クリップ(KOKUYO クリ-43)でベッドのフレームやブックエンドに固定しておくと、ベッドに寝た状態で口先でタッチ操作で利用できます。

4. 使用例

 操作スイッチの適用は河原優美子氏によるものです。利用状況の詳細は文献[1]をご覧ください。装置はいずれも「なんでもリモコン(旧版)」です。

(施設のFさん 2000~)

 大型の洗濯バサミを熱可塑性樹脂で加工し、電磁ガードの銅板を張り付けて作ったタッチ式の電極を使っています。また、施設の職員が誰でも簡単に装着できるように説明書も作りました。

タッチスイッチの装着例 スイッチ取りつけ方法の説明書
(施設のTさん 2001~)

 口先のタッチで操作するセンサ一体型のなんでもリモコンを使っています。不随意運動があるので、スキャンの時間を1.5秒にしました。

スイッチ一体型リモコンの使用例
(施設のIさん 2002~)

 左手指のわずかな対立運動が可能なので、市販のスペックスイッチを利用してセンサ分離型のなんでもリモコンを使っています。現在、たくさんの機器(吸引器、酸素濃縮器、タッチコールなど)に囲まれているので、なんでもリモコン本体を置く位置が難しく、ベッドを上げると、リモコンセンサがさえぎられるのが難点です。

スイッチ分離型リモコンの使用例
(在宅のYさん 2002~2004)

 隣室からリモコン操作したいとのことで、リモコン信号を強力にしました。大型の洗濯バサミに市販のスぺックスイッチを付けて装着しやすくしました。

SW使用例 なんでもリモコンとスイッチ
(施設のKさん 2007~)

 頭を持ち上げて、唇で操作しています。ブザー音を大きくしたいとのことで、ブザーをケースの外側に付けました。

SW使用例
(施設のKさん 2002~)

(在宅のSさん 2001~2002)

(療養所のNさん 2000~2001)

 なんでもリモコンの第1号ユーザで、Nさんのおかげで今日のなんでもリモコンがあります。

(療養所のIさん 2000~)

 なんでもリモコンにチャイムを追加して使っています。

(療養所のNさん 2000~)

 不随意運動があり、市販のジェリービーンスイッチで使っています。

(療養所のNさん 2000~)

(参考資料)

[1] 小山智史・小関敦・佐藤勇・河原優美子: 重度肢体不自由者用小型赤外線リモコン装置の開発と利用(pdf), 弘前大学教育学部紀要, No95, pp.137-143, 2006.

(付録A) 技術情報(部品代は2000~3000円です)

(タッチスイッチは誘導雑音を利用した簡易な方法を用いているため、安定して動作しない場合があります)
ATmega328P版(電池式) Seeeduino XIAO版 Arduino UNO版
大きさ 100×61×18.5mm 95×58×18mm -
回路図 [内部スイッチA・外部スイッチジャック]

(参考)
[内部スイッチA・内部スイッチB・外部スイッチジャック]

[内部スイッチA・外部スイッチジャック(タッチスイッチ対応)]

(参考)
[スイッチA・ジャック]
[内部スイッチA・内部スイッチB・外部スイッチジャック]
[内部タッチスイッチ]

(参考)
[スイッチA]
[スイッチA・スイッチB]
[タッチスイッチ]
加工図 [LM-100] [SW-95] -
主な部品 ケース LM-100, マイコン ATmega328P
プッシュスイッチ DS660RC
ケース SW-95, マイコン Seeeduino XIAO マイコン Arduino UNO
製作例
プログラム nandemo2.ino (状態遷移図)

(付録B) タッチスイッチ

 タッチスイッチは、身体の誘導雑音を利用した簡易な方法を用いています。以下の写真は上の波形が入力信号(誘導雑音)、下の波形がプログラムで50msのホールド処理を施したものです。

 外部スイッチジャックに電極を延長して接続する場合は、雑音の影響を受けにくくするために、シールド線を使い、面状の電極にしたい場合は両面プリント基板を使うなどしてください(基板の裏面をグランドに接続)。

 電池式の装置や電動ベッドの上での利用など、誘導雑音が得られにくい状況ではうまく動作しません。その場合は別途タッチスイッチ装置を外部スイッチジャックに接続して利用してください。


以下は旧版の備忘録です。

なんでもリモコン

2000.11.6~

(変更履歴)

    2020.12 Seeeduino XIAOで「なんでもリモコン」を作ることができるようになりました(New)!!
    2017.4.25 Arduino NANOとtinyBasicで「なんでもリモコン」を作ることができるようになりました
    2001.9.6 なんでもリモコン製作教室
    2000.11.6 公開

1. 概要

 1個のスイッチで操作する赤外線リモコンです。操作スイッチは、メカニカル接点スイッチまたはタッチスイッチまたはチルトスイッチの中から利用者に適したものを使います。TVやビデオはもちろん、大概の赤外線式のリモコンの代わりとして利用できます。オリンパスのデジカメもOK!!。最大8個のリモコン信号を利用者が割り当てできます。自動スキャンまたは手動スキャンで利用できます。

2. 使い方(「スイッチを押す」は、タッチ式では「スイッチ電極に触れる」、チルト式では「指を曲げる」と読み替えてください)

自動スキャン操作(デフォルト)
1度スイッチを押すと、1秒毎に数字表示が1→2→3→...と変化します。表示と連動して「ドレミ~」の音が鳴るので表示を見る必要はありません。その途中にスイッチを押すと、番号(音)に対応するリモコン信号がTVなどに送られます。
手動スキャン操作
スイッチをトントントンと押すと、数字表示が1→2→3→...と変化します。表示と連動して「ドレミ~」の音が鳴るので表示を見る必要はありません。確定したい箇所でスイッチをツーと1秒間押すと、番号に対応するリモコン信号がTVなどに送られます。スキャン操作の途中に3秒間何もしないと、操作はキャンセルされます。
自動スキャン・手動スキャンの切り替え
デフォルトは自動スキャンになっています。基盤上のタクトスイッチを3秒間押し続けると、自動スキャン・手動スキャンが交互に切り替わります。設定は電源を切っても保持されます。
登録信号数のプリセット
基板上のタクトスイッチを押すと1→2→...→8と表示が変化します。設定したい番号のところで3秒間スイッチを押し続けると、登録信号数がその値に設定され、以後、スキャンはその番号まで行われるようになります。設定は電源を切っても保持されます。ただし、登録信号数を1にはできません。
リモコン信号のプリセット
基盤上のタクトスイッチを押すと、1→2→...→8と表示が変化します。設定したい番号にして、基板の受光部(基板左上)に向けてリモコンのボタンを押すと、ブザー音がしてその番号にリモコン信号が割り付けられます。例えば(1)電源スイッチ(2)チャンネルアップ(3)チャンネルダウン(4)音量アップ(5)音量ダウンのように割り当てます。異なる機器のリモコン信号の混在もできます。設定は電源を切っても保持されます。
(注)リモコン信号の解析にはTOMCATさんが公開しているPICマルチメーカー対応赤外線リモコンコード解析器を自分なりにアレンジして製作したものを使いました。各社のリモコン信号のタイミングはこちらをご覧ください。

3. なんでもリモコン(メカニカル接点スイッチ式・タッチ式)

 10台以上製作しましたが、再現性よく作ることができました。1台の製作には3時間程かかります。

 90個のリモコン信号(PIC版は38)が予め登録されていて、プリセット操作でこの中から選択します。現在は主要各社のTV,VTRの電源ON/OFFとCHup/CHdnのリモコン信号を優先して登録しています。

(実装例)
外観写真 内部写真
上の写真は、外部スイッチタイプです。ジェリービーンスイッチなどのメカニカル接点式スイッチ、またはタッチスイッチ電極(写真)を接続して使います。本体の寸法は58mm×18mm×95mm(タカチSW-95)です。

電極一体型の外観写真 電極一体型の内部写真
上の写真は、本体とタッチスイッチ電極を一体にしたオールインワンタイプです。本体にフレキシブルシャフト(2mmIV線30cm~45cm)を付け、その先に電極とリモコン発光部を取り付けてあります。ベッドに寝た状態で口先でタッチ操作をします。クリップ(KOKUYO クリ-43)で本体を固定できるようになっていて、ベッドのフレームやブックスタンドに固定します。必要に応じて、リレー接点出力にチャイムなどを接続できます(写真はオーム電機OCS-6)。接点出力(チャイム)は、予め登録した最後の信号を選択した時にオンになります。

(回路図)
回路図

(プログラム)...avrtx.asm,avrtab.asm,avrtxlib.asm,avrrxlib.asm,avrtxset.asm,avrlib.asm,avrlib.inc

4. なんでもリモコン(高感度版, タッチ式)

 タッチスイッチは身体が商用AC電源から受ける誘導電圧を検知する仕組みになっているので、誘導電圧が小さい場合は、うまく動作しないことがあります。そのような時は「高感度版」をお試しください。「高感度版」は弘前近郊の入所施設のMさんを対象に作ったもので、2001年の暮にようやく利用できるようになりました。下でご紹介する「どこでもスイッチ」と組み合わせて使っています。

 なお、高感度版はメカニカル接点スイッチでは利用できず、タッチスイッチ専用となります。

(回路図)
高感度版の回路図

(プログラム)...前出のものと同じです。

5. なんでもリモコン(高出力版)

 リモコン信号が十分届かない方のために高出力版を作りました。隣町の在宅のYさんを対象に作ったもので、隣室にある斜め向きのTVをリモコン操作できます。

(実装例)
高出力版の内部写真

(回路図)
高出力版の回路図

(プログラム)...前出のものと同じです。

6. 使用例(河原優美子氏による)

(施設のFさん 2000~)
 大型の洗濯バサミを熱可塑性樹脂で加工し、電磁ガードの銅板を張り付けて作ったタッチ式の電極を使っています。また、施設の職員が誰でも簡単に装着できるように説明書も作りました。

タッチスイッチの装着例スイッチ取りつけ方法の説明書

(施設のTさん 2001~)
 口先のタッチで操作するセンサ一体型のなんでもリモコンを使っています。不随意運動があるので、スキャンの時間を1.5秒にしています。

スイッチ一体型リモコンの使用例

(施設のIさん 2002~)
 左手指のわずかな対立運動が可能なので、市販のスペックスイッチを利用してセンサ分離型のなんでもリモコンを使っています。現在、たくさんの機器(吸引器、酸素濃縮器、タッチコールなど)に囲まれているので、なんでもリモコン本体を置く位置が難しく、ベッドを上げると、リモコンセンサがさえぎられるのが難点です。

スイッチ分離型リモコンの使用例

(在宅のYさん 2002~2004)
 隣室からリモコン操作したいとのことで、高出力のなんでもリモコンにしました。大型の洗濯バサミに市販のスぺックスイッチを付けて装着しやすくしています。

SW使用例なんでもリモコンとスイッチ

(施設のKさん 2007~)
 頭を持ち上げて、唇で操作しています。リモコン信号は新しいデジタルTVにも対応しました。ブザー音を大きくしたいとのことで、ケースの外側に付けました。

SW使用例

(施設のKさん 2002~)
(在宅のSさん 2001~2002)
(療養所のNさん 2000~2001)
 なんでもリモコンの第1号ユーザで、Nさんのおかげで今日のなんでもリモコンがあります。
(療養所のIさん 2000~)
 なんでもリモコンにチャイムを追加して使っています。
(療養所のNさん 2000~)
 不随意運動があり、市販のジェリービーンスイッチで使用。
(療養所のNさん 2000~)

7. デジタルカメラもリモコン

 かつて、カシオのQV-10は外部からカメラ機能を制御できたようですが、今はもうそのようなカメラは無く、困っている人も多いようです。

 オリンパスではデジタルカメラ用のリモコンRM-1を販売(または標準添付)していて、E-100RS/C-2100UltraZoom/C-3040ZOOM/C-3030ZOOM/C-2020ZOOM/C-2000ZOOM/C-2500L/E-10などの機種で利用できるようです。「なんでもリモコン」でできるか試してみたら、OKでした。

 リモコン操作できるのは、撮影時にはシャッター操作とズーム(Tele/Wide)、再生時にはインデックス再生/クローズアップ再生とコマ送り(+/-)です。リモコン撮影する前に、カメラ本体を操作する必要がありますから、「なんでも」リモコン操作ができるわけではありませんからご注意ください。

 以下は久美子さんがC-2500Lで実際にリモコン撮影した写真です。

リモコン撮影の操作風景

(参考資料)

[1] 小山智史・小関敦・佐藤勇・河原優美子: 重度肢体不自由者用小型赤外線リモコン装置の開発と利用(pdf), 弘前大学教育学部紀要, No95, pp.137-143, 2006.

koyama88@cameo.plala.or.jp