この資料は2000年頃に作成したものを書き直したものです。「インターネットを活用した文献検索」もあわせて何かの参考になれば幸いです。
指導教員に専門書や研究論文のコピーを渡され、難解な専門用語と格闘しながら苦労して読んだという経験を多くの方が持っていることでしょう。研究テーマを決めて研究を始める時には、与えられた文献を読むだけでなく、その研究分野でどのような研究が行われているか「文献を調べる」ことが大変重要となります。
研究は、それまで多くの研究者が築いた山の上に小石を積み重ねるようなものです。また、「新しいことがわかった」と思っても、既に他の誰かが同じ研究成果を発表していたら、高い評価を得ることはできません。これまでの研究の蓄積を知り、最近の研究動向を把握する上で、文献の調査は不可欠です。
このような文献の調査は、ある時期に精力的に調べるのが良いと思います。
一口に文献と言っても多岐にわたりますが、例えば以下のようなものがあります。
論文はだいたい次のような構成で書かれています(1~5の部分が「本文」)。
著者名 (要旨) 1. はじめに 2. ... 3. ... 4. 結論 5. おわりに [参考文献] (1) 著者名: 「タイトル」, 雑誌名, 巻号, ページ, 発行年. (2) |
全体を通して「オリジナルの主張」が例えば次のように展開されています。
論文を読むということは、このような著者の主張を読み解くことに他なりません。そして、多くの場合その内容をきちんと理解するには相当な労力を必要とします。
しかし、「この論文には何が書いてあるのか」あるいは「著者は何がどうだと言っているのか」を読み取ることはそう難しいことではありません。「興味のある論文を集める(もちろん後で読むために)」段階では、このような読み方で十分と言えます。その場合、次のように「タイトル」と「要旨」に注目するのが良いでしょう。
(以下参考まで)
取り組もうとしている分野を扱っている文献(できれば定期的に刊行されている論文誌)をどこで閲覧できるか、指導教員に相談してみましょう。そして、例えば最近10年間の目次を片っ端から調べ、興味のありそうなタイトルが見つかれば要旨を読んだり、本文をパラパラ見てみましょう。インターネットや文献データベースを利用するのも便利なのですが、まずは、一度文献そのものを直接手にしてみてください。その分野ではどのような研究が活発に行われているかなども感じとることができるからです。
興味のある文献は、コピーをとるか、著者名, タイトル, 雑誌名, 巻号, ページ, 発行年などを控えておきます。
興味のある文献が見つかったとしましょう。その文献が挙げている参考文献の中で重要なものがあれば、研究室や図書館の蔵書の中から探すか、図書館などに複写の依頼をして入手します。入手した文献のそのまた参考文献の中の...というようにその分野の文献をイモヅル式に集めることができます。当然のことですが、この方法では新しい文献を見つけることはできません。
「どの文献でも必ず参照しているような文献」は、おそらくその分野で必読の重要な文献です。文献を調べていると、そのようなことも自然とわかってきます。
さまざまなオンライン文献データベースを有料あるいは無料で利用することができます。論文誌の目次情報を一覧表示してさがす方法もありますが、キーワードや著者名を入力して検索する使い方が便利です。この場合、「キーワードを注意深く選ぶ」ことが重要です。詳しくは「インターネットを活用した文献検索」をご覧ください。
研究は、特定の研究者あるいは研究グループにより精力的に行われていることが多いものです。興味のある論文があったならば、「同一著者の他の論文」を調べると、さまざまな論文(特にその後取り組んでいる新しい研究)が見つかる可能性があります。
このような場合は、文献データベースを利用して著者検索を行います。最近は、著者が自分のホームページで研究業績リストを公開している例も多いので、YAHOOなどで検索してみるのもよいでしょう。ホームページで文献の本文そのものが閲覧できる場合がありますし、論文に記載されている以外の貴重な情報が得られることも少なくありません。
最近は、特定の研究分野の文献リストが研究者によって公開されていることもあります。研究者の主観も加わりますが、そのことも含めて参考になります。