この資料は、2002年頃に作成したものを一部書き直したものです。旧いバージョンのプレゼン用ソフトのままですが、プレゼンテーションの要点はあまり変わっていないように思います。
1. はじめに |
数人~数十人の聞き手を前に、スクリーンに資料を投影しながら説明(または発表)をするさまざまな機会があります。これは広く「プレゼンテーション」と呼ばれています。以下はその一例です。
これらに共通することは、発表者は発表内容について聴き手よりも専門家であることと、聴き手は発表者のプレゼンテーションを聴くために貴重な時間を割いていることです。発表者は、限られた時間で「誰に何を伝えるか」を十分に意識し、そのための周到な準備をする必要があります。
ここでは、PowerPointを用いたプレゼンテーション用資料の作成(2章)と、作成した資料を用いたプレゼンテーション(3章)について基本的な事項を説明します。また、4章では、プレゼンテーション用ソフトを使わずに、Webページを使ってプレゼンテーションを行う場合のヒントを紹介します。
PowerPointを起動すると、初回は下図左のような画面が現れます。「新しいプレゼンテーション」を選び、「今後、このメッセージを表示しない」をチェックし、[OK]ボタンを押します。
次に、下図右のような画面が現れます。左上の「タイトルスライド」が選択されているので、「今後、このメッセージを表示しない」をチェックし、[OK]ボタンを押します。
以上の操作により下図左の表示となりますが、以後は、PowerPointを起動するとすぐにこの画面となります。
初期の状態に戻したい場合は、メニューバーの[ツール][オプション]で「起動時のダイアログ」と[新しいスライドダイアログ]のチェックを有効にしてください。
PowerPointを一旦終了し、再び起動してみましょう。
上図左の画面がプレゼンテーション資料作成時の標準的な表示画面です。画面の左側が「アウトライン表示」、右上が「スライド表示」、右下が「ノート表示」です。
スライド表示のタイトルとサブタイトルの箇所に、発表のタイトルと所属と名前を入力します(上図右)。入力した文字はアウトライン表示にも同時に表示されます。タイトルは発表の内容を適切に表現するように工夫します。
以上のように1枚目のタイトルスライドが完成したので、メニューバーで[ファイル][名前を付けて保存]で保存します。この例ではファイル名をjinko.pptとしています。
次にメニューバーで[挿入][新しいスライド]を選び、2枚目のスライドの作成に取り掛かります。
2枚目のスライドとして「目次」を作り、プレゼンテーションの冒頭でこれから行う発表の全容を示します。タイトルの箇所には「目次」と入力し、テキストの箇所には発表の大項目を入力します(上図右)。改行(Enter)操作により自動的に箇条書きとなります。
ここで、箇条書きを番号付きにしてみます。箇条書きの箇所をマウスで範囲指定し、メニューバーで[書式][箇条書きと段落番号]を選び、[段落番号]タブで「1. 2. 3. 」を選びます(下図左)。
いよいよ発表の中身のスライド作りに取り掛かります。
メニューバーで[挿入][新しいスライド]を選び、タイトルとテキストを入力します(上図右)。
字下げして細目を箇条書きにしたい場合は、行頭で Tab を押します。この操作を「レベルを下げる」といいます。以後、改行操作ではそのレベルでの箇条書きが続きます。レベルを上げたい場合は「Shift + Tab」の操作をします。
なお、メニューバーで[書式][スライドのレイアウト]を選ぶと、スライドのレイアウトをいくつかのパターンの中から選ぶことができます(下図左)。しかし、通常は、現在選択されている「箇条書きテキスト」を使い、必要に応じてレイアウトを変更すれば十分です。
字句の編集は、マウスで編集範囲を指定してコピーや切り取り、カーソル位置への貼り付けなど、他のアプリケーションと同様に行えます。
PowerPoint固有の編集機能として、アウトライン欄での操作があります。や「・」などアウトライン欄の行頭の部分をクリックすると、そのスライドや項目全体が範囲指定され、ドラッグ操作で移動することができます(上図右)。この機能を使うと、スライドの順番の入れ替えや箇条書きの順番の入れ替えを簡単に行うことができます。
他のアプリケーションからのコピー&ペーストについては、「7. 図・表・グラフの利用」を参考にしてください。
メニューバーで[書式][スライドの配色]を選び、「ユーザー設定」タブを選びます(下図左)。
ここで、背景、テキストと線、タイトルなどを好みの色に変更し、[すべてに適用]のボタンを押すと、すべてのスライドにこの配色が適用されます。
テキストの一部について文字の色やサイズを変えたい場合は、その箇所をマウスで範囲指定した後に、メニューバーで[書式][フォント]を選ぶと下図右のような表示が現れます。
ここで、「色」や「サイズ」の箇所をそれぞれ変更します。変化を多用すると強調の意味合いが薄れてしまうので、本当に強調したい箇所だけに変化をつけるのがコツです。
プレゼンテーションには図・表・グラフを利用すると効果的です。
PowerPointには描画機能が組み込まれています。次のスライドには、ウィンドウ下部の描画ツールを用いて簡単な図を描いてみます(下図左)。
PowerPointにも表やグラフの作成機能がありますが、ここで、表計算ソフトで作成した表とグラフを貼り付けてみます。
まず、表計算ソフト(Excel)を用いて、青森県の人口の推移の表とグラフを作成します(上図右)。このように作成した表やグラフは、コピー&ペーストの操作でPowerPointのスライドに貼りつけることができます。
Excelの表の箇所をマウスで範囲指定し、[編集][コピー](またはキーボードでCtrl + C )の操作をしてクリップボードにコピーします。次にPowerPointの貼り付けたいスライド画面で[編集][貼り付け](またはキーボードで Ctrl + V )の操作をしてクリップボードから表を貼り付けます(下図左)。
同様の操作で、次のスライドにはグラフを貼り付けます(下図右)。
画像ファイルになっている図や写真は、ドラッグ&ドロップの操作で貼りつけるのが簡単です。
メニューバーの[表示]を選び、[標準][スライド一覧][ノート][スライドショー]の中から表示モードを選択できます。現在は、起動時の[標準]になっています。
[スライド一覧]を選ぶと、スライドの一覧が表示されます。
[ノート]を選ぶと、スライドとノートが表示されます。
[スライドショー]を選ぶと、1枚のスライドがディスプレイ全体に表示されます。発表時にはこの表示を用います。Spaceまたはマウスの左ボタンの操作で次のスライドが表示されます。また、スクロールボタンでスライドを前後に送ることができます。スライドショーを終了する場合は、Escまたは右ボタンで[スライドショーの終了]を選びます。
メニューバーで[ファイル][印刷]を選びます。左下の「印刷対象」を選択することにより、用途の異なる何パターンかの印刷物を作成することができます。
「印刷対象」を「スライド」にすると、スライド1枚毎に印刷できます。
ワープロソフトなどで別途配布資料を作成することも多いのですが、この方法は、プレゼン資料をそのまま印刷するものです。「印刷対象」を「配布資料」にすると、1ページに6枚のスライドを縮小印刷できます。なお、1ページに印刷するスライドの枚数は変えることができ、1ページに3枚印刷する場合は各スライドの右側がメモ欄となります。
これは、発表者用の資料を用意するときに使います。この機能を活用するには、各スライド作成時に「ノート」欄に発表時のためのメモを記載しておきます。印刷時の画面で「印刷対象」を「ノート」にすると、スライド1枚毎にスライド画面とその下にノートのテキストが印刷されます。上質の発表が求められる場合には、このように作成した印刷物を手元に置いて発表するとよいでしょう。
PowerPointには、アニメーションをはじめさまざまな「効果」を付ける機能を用意されています。最近は、これらの機能を駆使した華やかなプレゼンテーションにお目にかかることも少なくありません。
しかし、その多くの場合は発表者の意図に反して逆効果となっています。それは、聴き手は効果に気をとらわれて、肝心の内容に集中できないからです。どうしてもそれらの機能を試してみたい場合は、最小限に留め、労力は他に費やすべきです。
発表時には、[標準]または[スライド一覧]表示で開始スライドを指定し、メニューバーで[表示][スライドショー]を選びます。画面全体にスライドが表示されます。
元の表示に戻すには、Escを押すか、マウスの右クリックで[スライドショーの終了]を選びます。
Spaceまたはマウスの左クリックで次のスライドに送ることができます。前のスライドに戻す場合はマウスの右クリックで[前へ]を選びます。また、スライドを前後に送る操作はスクロールボタンを使うと便利です。
説明時には、指し棒を使ってスクリーンの表示箇所を指し示すのが最もオーソドックスな方法で、基本的にはこの方法をお勧めします。それは、大きな身体アクションでスクリーンの表示画面を指し示しながら聴き手に直接語りかけることが自然に行えるからです。
最近はレーザーマーカーもしばしば用いられます。ただし、手元でマーカー装置を少し動かすとスクリーン上では大きな動きとなり、上手に用いるには慣れが必要です。
PowerPointのマーカー機能を活用するのも効果的です。スライドショーで表示している時に、マウスの右クリックをして、ポップアップメニューから[ポインタオプション][ペン]を選ぶと、マウスを使って表示中の画面に自由に書き込みできるようになります。[ペンの色]で適切な色(例えば赤)を選ぶことができます。このマーカー書き込みは一時的なもので、別のスライドを表示すると書き込んだ内容は消えてしまいます。マーカー機能を使う場合は、スライドの送りにスクロールボタンを使うと便利です。
ただし、ついつい、聴き手に向かってではなくパソコンに向かってプレゼンテーションをすることになりがちなので、くれぐれも注意してください。
本資料の冒頭にも書いたことを繰り返しますが、プレゼンテーションに共通することは、発表者は発表内容について聞き手よりも専門家であることと、聴き手は発表者のプレゼンテーションを聴くために貴重な時間を割いていることです。ですから、発表者は、限られた時間で「誰に何を伝えるか」を十分に意識し、そのための周到な準備をする必要があります。
これまで示したことと重複する項目もありますが、以下にプレゼンテーションの要点をまとめました。
パソコンを液晶プロジェクタに接続し、スライド画面をスクリーンに投影してプレゼンテーションを行います。多くの場合、プロジェクタは会場に用意されていて、持参したノートパソコンと接続します。ところが、いざ本番というときになって、パソコンの画面がうまくスクリーンに投影できないというトラブルは珍しいことではありません。注意点を以下にまとめました。
この資料はプレゼンテーション用ソフトを使った内容なのですが、実は私自身はほとんどこのようなソフトを使ったことはなく、Webページとしてプレゼン用資料を作成し、Webブラウザを使ってプレゼンテーションを行ってきました。
その場合、以下のことに気を付けるとよいでしょう。