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アクセシビリティ

(言語・聴覚) (視覚障害) (肢体不自由) (発達障害) (高齢者等) (その他)

「アクセシビリティ」という用語について

 米国リハビリテーション法第508条(1986)は、「連邦政府は身体に障害がある職員が使用できないような電子事務機器を調達してはならない」と規定しています。障害の内容別に具体的対応方法が記載された「電子機器アクセシビリティ指針(1987)」を、八代英太参議院議員(当時)のはからいで入手することができ、これを太田茂氏(当時富士通(株))を中心に福祉システム研究会の有志6名で翻訳しました(写真)。

 八代氏は訳書の巻頭言に次のように書いています。

アメリカで、リハビリテーション法にコンピュータまで含めるという話を聴いて、私の頭の中ではなんのことか見当もつかなかった。私に限らず、いまの日本のリハビリテーションの定義からは、ほとんどの人が、なんのことか簡単には思い浮かばないに違いない。

 また、訳者まえがきには太田氏が「アクセシビリティ」の用語について次のように書いています。

コンピュータ用語としての "access" は、データとか情報といった無形の財産に接近して利用するというほどの意味である。強いて訳すなら「利用」が妥当であろうが、これでは "use" との区別がつかなくなる。本書では原文を尊重して、アクセスという言葉をそのまま使った。"accesibility" については、うまい訳語を思いつかず「アクセシビリティ」のままとした。

 以後、徐々にアクセシビリティという言葉が定着しました。この訳書が契機となり、国内でも関心がもたれるようになり、通産省の「情報処理機器アクセシビリティ指針(1990)」「障害者等情報処理機器アクセシビリティ指針(1995)」、郵政省の「障害者等電気通信設備アクセシビリティ指針(2000)」、JIS規格「JISX8341-1~5 高齢者・障害者等配慮設計指針(2004~)」となり、今日に受け継がれています。


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