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音声ソフトでパソコン通信(1986年12月6日)

 1986年12月6日、電気通信大学で長谷川貞夫先生(写真左, 当時 筑波大学附属盲学校)、本田真奈美氏(当時 アスキー(株))と共に、視覚障害者が合成音声を用いてパソコン通信(アスキーネット)を利用する実証実験を行いました。参加者は15名。全盲教師がパソコン通信で検索した新聞記事等から教材を作成したり、全盲生徒がこれらの実教材で直接学習できることを確認することができました。今日では多くの視覚障害者が合成音声でインターネットを利用していますが、その可能性が国内で初めて確かめられた瞬間です。

 パソコンはFM16β(音声合成カード内蔵)、音声ソフトはOS-TALK、モデムは300bps、パソコン通信はASCIIネットを使いました。参加者は皆息をひそめて合成音声の読み上げ音を聞きました。

 この後まもなく、長谷川先生(視覚障害)は、パソコン通信の掲示板で聴覚障害の方と情報交換されていました。それまで困難であった「視覚障害者と聴覚障害者のコミュニケーション」が実現したのです。

 なお、日本でインターネットの商用サービスが始まったのが1992年、Webブラウザ(NCSA Mosaic)が誕生したのが1993年のことで、その前は、PCVAN や NiftyServe や AsciiNet などの「パソコン通信」が利用されていました。

(参考資料)

[1] 月刊ASCII, 1987年2月号p212.
[2] 合成音声・自動点訳による盲人の新聞・大百科事典オンラインデータベース利用, 電子通信学会教育工学研究会, 1988.


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