合成音声を用いた在宅吃音訓練システムです(システムの詳細は文献[1][2]、在宅吃音訓練の詳細は文献[3]~[12])。DAISY風テキストリーダーを利用しており、Edge (Windows), Chrome (Windows, Android), Safari(iOS), Firefox (Windows) などのブラウザで利用できます。Chromeの場合、インターネット回線が遅いと動作が緩慢になることがありました。有線またはWi-FiのLAN接続環境で利用するのがいいようです。
訓練用ページ | 内容 | 備考 |
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単語50音 | あし アイス あいさつ ... |
文献[13]の一部に読み修正データを付加して作成しました。 (小林宏明先生の許可を得て使用しています。) |
あ行~ら行 か行~た行(行シャフル) |
かう かお かき かさ ... |
行シャフルは練習の慣れを回避したい場合に使います。 文献[14]の一部に読み修正データを付加して作成しました。 (岡崎恵子先生の許可を得て使用しています。) |
むくどりのゆめ | 野原の ふとい 栗の木に ... | 文献[15]の一部に読み修正データを付加して作成しました。 |
日常会話 仕事編 | 会議の開催日について分かったら ... | 対象者のニーズに合わせてテキストを変更して使います。 |
日常会話 電話編 | もしもし。弘前大学でございます。 ... |
電話の応対の練習に特化した内容で、通話相手の声を変えて練習できます。 対象者のニーズに合わせてテキストを変更して使います。 パソコンで利用する場合は、ハンドセットタイプのスピーカを使うと実際の電話応対に近い練習ができます。 |
図1は訓練用ページをブラウザで表示した様子です。パソコンの場合はF11キーを押してキオスクモード(全画面モード)で使うといいかもしれません。
図1 ブラウザの表示画面
基本操作はページ上部で行います。
訓練用テキスト(ファイル)を選択します。 「あ」行 「か」行 ... がそれぞれのテキストファイルに対応しています。予めサーバに用意されたテキストの他、新規にテキストを追加することができます。 | |
ページ(章)選択 (「か」行 1「か」文 ... ) | 図1の例では、 「か」行 はタイトル(テキストの先頭)、1.「か」文 は1ページ目(第1章)に相当します。いずれかを選ぶと、その内容が画面に表示されます(図1は「か」文)。 |
このボタンを押すと表示中の内容が合成音声で読み上げられ、読み上げ箇所がハイライト表示されます。で読み上げが停止します。 | |
なし、フレーズ読, ページ読, 通読 から選択します。 フレーズ読 はマウスでポイントした箇所を読み上げます。 ページ読 はページ(章)(図の例では 「か」行 )の終わりまで読んだら読み上げを停止します。 通読 は 「か」行 が終わると 「き」行 というように、次のページ(章)を表示し読み続けます。 | |
表示色や読み上げ音声の設定などを行います。詳しくは次章。 |
ページ上部のを押すと、設定画面が現れます(図2)。
図2 設定画面
設定操作は表3のように行います。
背景 | 画面全体の背景色を指定します。 |
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強調 | ハイライト箇所の背景色を指定します。 |
縦横 | 縦書き/横書きを指定します。 |
テキスト欄 |
[テキスト欄]には現在表示中のテキストの「元データ」が表示されているので、ここで、内容や読み誤りを修正したり、新規テキストを入力したりできます。 を押すと[テキスト欄]がクリアされます。 を押すとパソコン上のテキストファイルを[テキスト欄]に読み込むことができます。 を押すと[テキスト欄]の内容が保存され表示に反映されます。ただしサーバテキストの内容を変更することはできません。 を押すと[テキスト欄]の内容がローカルテキストとして新規保存されます。 以下は典型的な操作です。 (1) 新たにテキストを入力して追加登録したい場合は、→[テキスト欄]にテキスト入力→とします。 (2) パソコン上のファイルを追加登録したい場合は、→とします。 (3) スマホの場合は、追加登録したいファイルをパソコンからスマホにメール添付で送り、スマホでこれを保存します。Gmailアプリの場合、Androidスマホでは「Download/email」、iPHONEでは「このiPHONE内」に保存されるようなので、これを→で追加登録します。 (4) 読みの修正など、テキストの一部を変更したい場合は、[テキスト欄]の修正→とします。サーバテキストを修正したい場合は [テキスト欄]の修正→で修正したテキストを追加登録します。 (5) 追加登録したテキストはブラウザに保存され、「同じパソコンやスマホの同じブラウザで利用する限り」ずっと使い続けることができます。 (6) 追加登録されているローカルテキストを削除したい場合は、→とします。 |
通常はテキストを「標準話者」の声で読み上げます。テキスト冒頭に「話者:太郎,花子」のように記載しておくと、「標準話者」の他に「太郎」「花子」を選択できるようになり、それぞれの話者について、声、速さ、音程を設定できます。テキスト中で部分的に声を変えることができます。 | |
声 | 話者ごとに読み上げ音声を選択します。利用できる音声はブラウザによって異なります(表4)。声の質だけでなく、読み誤りやイントネーションも異なるので、注意が必要です。 |
速さ | 話者ごとに読み上げ速度を設定します。 |
音程 | 話者ごとに音程(ピッチ)を設定します。 |
減衰 | 「減衰読み」の減衰量を時定数で指定します(減衰読みについては文献[9][10]などを参照)。 |
OS | ブラウザ | 日本語音声 | 英語音声 |
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Windows | Edge | Ayumi Haruka Ichiro | |
Chrome | Haruka 日本語 | Zira US UK female UK male | |
Firefox | Haruka | Zira | |
Android | Chrome | 日本語 日本 | 英語 イギリス 英語 アメリカ合衆国 |
iOS | Safari | Hattori Kyoko | Aaron Fred Nicky Samantha O-ren Alex |
図3は表1の中の「か行」(ka.txt)の内容を示したもので、テキストエディタで作成できます。作成したテキストファイルをで読み込み保存しておけば、予めサーバに用意されたテキストと区別なく利用することができます。
図3 吃音訓練用テキストの例(「か」行 および 電話練習用)
テキスト中の見出しの抽出と本文の分割、フレーズの抽出は自動で行われます。フレーズは、「、。」「,.」「,.(英文)」を区切り文字として扱い、ハイライト表示および音読の区切りになっています。
「減衰読み」の場合はフレーズ中のスペースを区切りとしたセグメント毎に減衰します。ただし、話者指定した箇所には減衰読みは適用されません。これにより、電話応対の練習の際に通話相手の声が減衰することはありません。
レイアウトの乱れを改善したい場合は、テキストファイルを修正します。読み誤りを修正したい場合は、「☆読み☆よみ☆」のようにテキスト中で読みを指定します。逆に、ひらがなで表示したい際にイントネーションが不自然になってしまう場合は、「☆よみ☆読み☆」のようにすると改善されることがあります。読み方はブラウザによって異なる(表4)ので、注意が必要です。イントネーションやアクセントを明示的に指示することはできません。
テキスト中では表3のルールを利用できます。
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[1] 小山智史: テキストファイルをDAISY風に表示するリーダーの開発, 電子情報通信学会福祉情報工学研究会資料, WIT2011-89, pp.107-112, 2012.
[2] 小山智史: DAISY風テキストリーダーの開発, 弘前大学教育学部紀要, 108, pp.163-169, 2012.
[3] 小山内筆子, 小山智史:遠隔地の吃音指導のニーズと合成音声を用いた在宅訓練の提案, 電子情報通信学会福祉情報工学研究会資料, WIT2012, 2013.
[4] 小山内筆子, 小山智史:成人吃音における合成音声を用いた音読訓練 ---その効果とコミュニケーション態度の改善---, 日本音響学会2013年春季研究発表会予稿集, 2-7-7, 2013.
[5] 小山内筆子, 小山智史:成人吃音1例を対象とした合成音声を用いた音読訓練, 第2回日本小児診療多職種研究会資料, 2013.
[6] 小山内筆子, 小山智史:成人吃音者1例における合成音声を用いた在宅訓練---1年間の吃症状の改善---, 電子情報通信学会応用音響研究会資料, EA2013-41, 2013.
[7] 小山内筆子, 小山智史:吃音訓練における発話速度調整の重要性についての検討---合成音声を用いた在宅訓練を通して---, 第1回日本吃音・流暢性障害学会, 2013.
[8] 小山内筆子, 小山智史:長期的支援における成人吃音1例のコミュニケーション態度の変容---言語訓練と在宅訓練による効果の検証---, 日本コミュニケーション障害学会, 2015.
[9] 小山内筆子, 小山智史:成人吃音を対象とした合成音声を用いた在宅訓練の予備的検討---吃症状および心理面に改善が認められた成人吃音の1症例---, 音声言語医学, 56(3), pp.236-243, 2015.
[10] 小山内筆子:成人吃音における合成音声を用いた在宅吃音訓練法に関する研究, 弘前大学地域社会研究科 学位論文, 2016.
[11] 小山内筆子, 小山智史:合成音声を用いた在宅吃音訓練におけるポーズに着目した吃症状の検討, 電子情報通信学会教育工学研究会資料, 2016.
[12] 小山内筆子, 小山智史:合成音声を用いた在宅吃音訓練におけるポーズに着目した吃症状の検討(第2報), 電子情報通信学会教育工学研究会資料, 2017.
[13] 小林宏明: 学齢期吃音の指導支援, 学苑社, 2009.
[14] 岡崎恵子, 船山美奈子(編著): 構音訓練のためのドリルブック 改訂第2版, 協同医書出版社, 2006.
[15] 田口恒夫編: 新訂言語治療用ハンドブック, 日本文化科学社, 1997.