小学校外国語活動教材

「オリジナル・タウンをつくろう」[教材へのリンク(小山版)]

11GP220 佐々木綾子(弘前大学大学院教育学研究科)
小山智史(弘前大学教育学部)

1. 概要

 2011年度から小学校に外国語活動が5・6年生を対象に本格実施された。 児童には英語ノート1・2が配布され、多くの小学校でこの英語ノートをもとに外国語活動が行われ、英語ノートのデジタル版を用いて電子黒板を使った授業が展開されていると思われる。

 「英語ノート2」のLesson5では「道案内をしよう」といういう活動がある。ここでは、"Police office" や"School"など建物の名前の言い方に慣れ親しみ、"Turn left", "Go straight", "Turn right" などの方向の指示の仕方を学ぶ。

 英語ノートを使った授業では、「オリジナル・タウンを作って紹介しよう」という活動があるが、文部科学省配布のデジタル版では4枚の建物絵カードを入れ替えられるだけで、バリエーションはあまり多くない。そこで、建物絵カードを全て動かせるようにし、多くのオリジナル・タウンを作ることができるようにすることで、多様なコミュニケーション活動に役立てられると考え本教材を作成した。

2. 制作した教材

 本教材はJavaScriptを用いて作成した。絵は下山愛さん(弘前大学大学院教育学研究科)に描いてもらた絵を、スキャナーで取り込み、フリーソフトのGimpで加工した。声は佐々木が発音したものをAudactyで録音したものである。本教材では、12種類の建物を使ってタウンを作っている。英語ノートに提示されているものより、より身近な建物をとりあげており、建物絵カードをクリックすると、音声を聞くことができるので、建物の英語での言い方を知ることができる。必要に応じて全ての建物を動かすことができるので、オリジナル・タウンを作ることができる。また、建物をクリックすると、その建物だけに注目できるように他の建物は不透明になるようにしている。更に、[Shuffle]をクリックすると、全ての建物が自動的にシャッフルするので、何通りものタウンがきる上、ドラッグしていくつか建物の位置を変えることもできる。このことで、たくさんの町並みをつくることができ、何度も方向指示の練習ができる。

 また、"Turn left", "Go straight", "Turn right" などの指示の言い方を学ぶことができるようにした。男の子と女の子の周りにある矢印をクリックすると、音声が聞こえ、子どもが向きを変えるので、視覚的にも方向がわかる。また、1人が道案内をし、もう1人がそれに合わせて男の子または女の子を動かしながら道案内をするペア・ワークを行うことができる。

3. 使い方

 教室では、電子黒板等で、画面を提示し、最初に建物の英語での言い方を知り、英語の表現に慣れ親しむ。その後で、男の子と女の子を使って、方向の指示の仕方を学習する。慣れてきたら、[Shuffle]ボタンを押して町並みを変えて方向の指示の仕方を練習する。←をクリックすると"Turn left"と音声が出、男の子が左を向くので、音声と動作を一致させることができる。同じように↓をクリックすると"Go straight"、→をクリックすると"Turn right"と音声が出、↓をクリックすると後ろ向きになる。

 パソコンルームなどを使用できるときは、児童がペアになって道を聞く人、道案内とする人に役割分担をして活動する。そのときに男の子と女の子を動かすとよい。一人が自分のオリジナル・タウンを作り、方向指示をして、相手に道案内をして英語の表現に慣れ親しむ。



図1. ブラウザの表示画面



図2. ParkをクリックするとParkだけがはっきりと見える




図3. 矢印をクリックすると向きを変えることができる




4. 簡単なやり取りの例

 建物の英語の言い方と目的地への指示の言い方に慣れた後に行う。ペアになって行き方をたずねる人と道案内をする人に分かれる。最初は教師とALTとデモンストレーションをしてやり方を示し、次に教師またはALTと児童、そして児童同士でペア・ワークをするとよい。



図4. ペアで道案内をする


B:男の子  G:女の子
Now, a boy and a girl are in front of the station.
(男の子と女の子を駅前に動かす。)
B: Excuse me. I am going to the park.
(公園位置クリックして確認する。)
 
B: Where is the park?
  
G: Park? OK. Go straight. Go straight. Turn right. Go straight. Go straight. Turn left. Here is the park.
(男の子を指示に合わせて動かす。)
 
B: Thank you.
 
G: You are welcome.
B: Good-by.
G: Good-by.

図5. Shuffleを押すたびに町並みが変わる

5. まとめ

 本教材は児童が“Where is the ~?”と尋ねたり、“Go straight.”などの方向の指示の言い方に十分慣れさせることを目的としたものである。こういった英語表現に十分に慣れた後で、教室内に作った町で、児童が実際に尋ねたり、道案内をしたりしてコミュニケーション活動を行えば、よりコミュニケーションを図る楽しさを体験することができると考える。今後、建物の絵を増やしたり、児童の身の回りにある実際の建物の写真を使ったりすれば、児童がより興味を持って取り組むことができるのではないかと考える。また、方向の指示の仕方の練習ができるようにしたが、男の子と女の子を地図上で動かすときに指示と向いている方向が一致するようにしてみたい。今後、絵を動かしたり、音声を取り込んだりすることを利用して、小学校外国語活動の他のLessonや、他教科でも教材を作ってみたいと考えている。

[参考文献]
文部科学省 (2009)「英語ノート2」
文部科学省 (2009) 「英語ノート2 指導資料」
島崎貴代 (2008) 「学級担任がスグに使える 小学校英語活動コピー資料集」フォーラム・A

(絵:下山 愛)