2002.2.9- 更新
身体動作で学習するWeb教材
ゴミ分別大作戦
1. 概要
通常のコンピュータ教材は、「ディスプレイの表示とマウスやキーボードの操作」という制約から逃れることができません。ここに紹介する試みは、「身体動作を伴いながら学習活動を行うコンピュータ教材」をめざすものです。
工藤真純(学生)が制作した「ゴミ分別大作戦」を例に概要を説明します。この教材はWeb教材で上のボタンを押すとすぐに試すことができます。ゴミをドラッグ&ドロップ操作でゴミ箱に移動してください。
この教材を「実動作」で利用する場合のシナリオは、下図のようなものです。
ディスプレイの表示や入力部(ゴミとゴミ箱)や操作の様子を以下に示します。
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(a)ディスプレイの表示 | (b)実操作をするゴミとゴミ箱 | (c)操作の様子 |
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(d)模擬授業(デモ) |
「実動作」で利用するためのシステムについて、以下に説明します(特別なソフトウェアは必要ありません)。
2. 特徴
- Web教材ですから、ブラウザがあればすぐに利用できます。インターネットや校内LANに接続されているパソコンであれば、特別な準備なしに、サーバ上に置いたこの教材を利用することができます。パソコン単体でも利用できます。
- プログラムはJavaScript言語で作ってありますから、サーバに過重な負荷がかかりません。パソコン演習室などで多数の生徒に同時に利用させる場合にも適しています。
- 「実動作」で利用するためのハードウェアはパソコンのCOMポートに接続し、ソフトウェアはWindowsに標準で用意されている「ユーザ補助」の機能を利用しています。特別なソフトウェアは必要ありません。
- 「実動作」で用いない場合も、キーボードからの入力やマウスによるドラッグ&ドロップ操作でこの教材を利用することができます(マルチモーダル)。
3. システムの構成
下図(a)は教材(赤枠)をサーバに置いて、インターネットで共同利用する場合、下図(b)は教材をスタンドアロンで利用する場合のシステムの構成です。
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(a)インターネットによる教材の共同利用 |
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(b)スタンドアロンでの利用 |
4. ハードウェア
(1) トレー
トレーは最大14枚利用でき、裏面に識別のためのID(光学式4bit)を貼り付けています(写真左)。このトレーの上には実物(写真はタワシ)を固定しますが、容易に交換できるようにマジックテープを使っています。
(2) 台(赤外線送信機)
上のトレーを置く台です。この台にトレーを置くと、トレーのIDを光センサーで読み取り、その情報が赤外線で送信されます。電池で動作しますから、任意の位置に置くことができます。見通しであれば、教室内の通信が十分可能ですから、例えば「教室を広く使ったコンピュータ教材」を作ることができます。
この台は制作する教材により、脚色を工夫します(下の写真はゴミ箱)。
○ 回路図:
複数の台を使う場合には、回路図中のジャンパ線で台のIDを決めます。現在は3台まで指定できます。
○ プログラム: tray2ir.asm
(3) 赤外線受信機
台から送信されたトレー情報を受信し、その情報をRS-232CでパソコンのCOMポートに送ります。
○ 回路図:
○ プログラム: ir2rs.asm
5. さまざまな可能性(アイディアです)
- 中学校で用いる家庭科教材...用意されたメニューの中からいくつかの料理を選び,お盆に並べると、摂取できる栄養とアドバイスが表示されるというものです。この場合はどの料理(トレイ)を選んだか(トレイ台に置いたか)が重要で、トレイ台を区別する必要はありません。
- 精神遅滞児向けの生活学習教材...スーパーでの買い物の事前学習として、陳列された商品の中から買う物を選び、レジでの金額の集計やお金のやり取りを練習するというものです。この場合は買った物を一つずつトレイ台に載せるので(バーコードの読み取りをシミュレート)、トレイ台は一つしか用いません。
- 自閉症児向けの見本合わせ教材...同じ学級の友達の名前を漢字または平仮名で覚えさせるための教材で、顔写真をトレイ、名前の文字をトレイ台に対応させ照合させます。ただし、一度に与える課題はひとつとし、一つの顔写真(トレイ)を複数の名前(トレイ台)のいずれかと照合するよう指示します(逆の場合もある)。
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