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2007.6.14 -

アナログテレビに表示する多目的タイマー

1. 概要

 この多目的タイマーは日本歯科大学新潟生命歯学部の吉村建様からのご提案を受けて作成したものです。ハードウェアは発表会用タイマータイムエイドと共通で、プログラムのみ異なります。

 タイマー本体に表示装置は無く、テレビに接続して使います。

 下の写真は、残り時間が3分47秒の時の表示画面です。

多目的タイマー表示画面 多目的タイマー装置写真
主な仕様
操作スイッチ押しボタンスイッチの操作で、スタート、ストップ、リセット、時間の設定を行うことができます。
設定時間0~99分(設定値は電源を切っても保持されます)
機能 カウントアップタイマー: 設定値を「0分」にすると0分00秒からの経過時間をカウントアップ表示します。「99分59秒」の次は「0分00秒」に戻り、カウントを続けます。
カウントダウンタイマー: 設定値を「1~99分」にすると残り時間を設定値からカウントダウン表示します。「0分00秒」で停止、または設定値からのカウントを繰り返すことができます。
表示テレビ画面に分・秒の表示
精度1時間に数秒程度の誤差を伴います。厳密な時間管理を要する用途には適しません。
アラーム音カウントダウンタイマーとして使用時、0分00秒でスピーカより「ブッブッブーッ」のアラーム音が出ます。音量はテレビのボリュームで調整します。
解像度64×16ドットの表示領域に16×16ドットの数字文字を表示
表示色カウントアップ時は緑色、カウントダウン時は青色で表示します。
ビデオ信号規格外のビデオ信号のため、テレビによってはうまく表示できないことがあるかもしれません。
出力テレビのビデオ入力端子およびオーディオ入力端子に接続
(タイマー本体に表示装置やスピーカはありません)
電源3V(CR2032) 8mA
大きさ40×55×20mm

2. 使い方

 テレビの表示を見ながらスイッチを操作します。アラームの音量はテレビのボリュームで調整してください。設定値はスイッチを切っても保持されます。

スタート・ストップ
スイッチを押すとタイマーがスタートし、もう1度押すと停止します。
リセット
スイッチを押しブザー音を2回聞いて離すと、カウントが設定値にリセットされます。カウントダウンで使用時は、リセット操作により、シングルモード(「0分00秒」に達すると停止)とリピートモード(「0分00秒」に達すると設定値からのカウントを繰り返す)が交互に切り替わります。リピートモードで動作中は、画面右下に「.(ドット)」が表示されます。
設定値の変更
カウントアップタイマー...スイッチを押しブザー音を3回聞いて離すと、「0分00秒」の表示となり、経過時間を表示するカウントアップタイマーとなります。
カウントダウンタイマー...スイッチを押しブザー音を4回以上聴くと、「1分→2分→3分→...→99分(最大)」のように表示が変わるので、希望する設定値でスイッチを離してください。残り時間を表示するカウントダウンタイマーとなります。

3. 日本歯科大学新潟生命歯学部での利用例(2007.6.14~)

解剖学実習(骨学)試験での使用報告(吉村建様からご提供いただきました)

 この実習は年1回5コマで行なわれております。実習内容はヒト骨の観察並びにスケッチですが、実習の最後には試験を行なっております。実習試験の形式は欧米の歯学部教育や歯科衛生士の国家試験1)で行なわれている「スポッター・テスト(Spotter Test)」と呼ばれているものです。
 実習室に学生の人数+αの課題ブースを設けます。ブースは選挙の記載台のようになっており、1ブース1課題の骨の名称や部位に関する設問が設置されております。今回は116課題並びにリエゾンポイント4ヵ所の計120ブースを作成致しました。
 学生をブースに着席させ、合図と共に課題を解答させます。1分の制限時間が設定されております。時間経過後、学生は隣のブースに一斉に移動し、次の課題を解答します。学生が120ブースを回りますと試験終了となります。
 以前はキッチンタイマーを用いておりましたが、120回セットするのは容易ではありませんでした。また、ロスタイムも大きく、デメリットが大きいものでした。その後、市販のスポーツ用のインターバルタイマーも用いておりましたが、こちらも小型で周囲から残り時間を確認できにくく、またアラーム音も小さく、不便でした。
 今回御製作頂きましたタイマーは連続動作が可能です。また外部音声出力もありますので、実習室のAV装置の入力に接続し、アラームを鳴らす事が出来ました。私共の実習試験には大変便利なものでした。

1) Basic guide to dental instruments. C. Scheller. Blackwell Munksgaard 2006.

4. 技術情報

 マイコンはATMEL社のAVRマイコンATtiny45Vを使いました。ビデオ信号の発生方法については、主にBruce Land氏の資料[1][2]を参考にしました。プログラムはWinAVR(20060421版)のgcc-avrで「-Os」オプションでコンパイルします。

 ATtiny45VのSRAM256バイトの内128バイトを、64×16ピクセルのVRAMとして使っています。カラー版のCPUは4SCのクロック(14.32MHz)で動作し、サブキャリアのバースト信号に対して位相を90°ずつ変えることにより、4色を表現しています。ただし、タイミングもレベルも規格外のインチキビデオ信号ですから、テレビによってはうまく表示できないことがあるかもしれません。また、クロック周波数(14.32MHz)はATtiny45Vの定格を超えています。

(回路図)カラー版回路図
(プログラム)itimer.c, vlibnum.c, itimer.bat(参考)

(参考資料)

[1] Bruce Land: AVR Video Generator with an AVR Mega163, Atmel Application Journal, Vol.3, pp.8-10(2004).
[2] Bruce Land: Video Generation with Atmel AVR microcontrollers(Cornell Univ. EE476), http://instruct1.cit.cornell.edu/courses/ee476/video/


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