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2006.12.19-

アナログテレビに表示する電光掲示板(ビデオテロッパー)

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1. 概要

 この装置をテレビに接続すると、あらかじめ登録したメッセージが、テレビ画面上にスクロール表示されます。

 次のようなさまざまな利用が考えられます。テレビを「ごみ」として廃棄する前に、もう一活躍させてあげたいものです。

 なお、表示内容をプログラムできる小型ビデオ表示装置の初期のアイディアは2004年度の情報技術演習(院)の中で高橋学氏より出されたものです。また、表示内容を変えられるわけではありませんが、「ビデオバルブ」という小型のビデオ装置も商品化されているようです。

 カラー文字表示白文字オーバレイ表示
表示画面 ビデオテロッパーカラー表示画面2 ビデオテロッパーカラー表示画面2
表示メッセージ 予め登録したメッセージをスクロール表示します。メッセージはパソコンにテキストファイルとして作成し、書き込み装置を使って書き込みます。テキストファイルの内容は、ある行のスクロールが終了すると次の行のスクロールが始まるようになっています。行末に「$」を置くと、行末の文字が表示された状態で1秒停止した後、表示が消えて次の行のスクロールが始まります。これで、少しばかり変化をつけることができます。複数個のメッセージを登録しておき、ボタン操作で表示を切り替えることもできます。登録できるメッセージは概ね表示する文字種の数で決まります。すべて異なる文字を表示させる場合は約120文字を表示でき、通常は同じ文字が何度も出てきますから、それよりもずっと長いメッセージを表示することができます。
表示色 特に指定しない場合は、メッセージをで交互に表示します。表示色を指定する場合は、テキストファイルの任意の箇所に「色(白)」「色(緑)」「色(赤青)」のような行を設けます。色は白と赤青緑紫の中から1~2色(ただし白は1色)を指定できます。色指定の行から表示色が変化するわけではありません。 メッセージは白で表示されます。カラー表示はできません。
メッセージの切替え 押しボタンスイッチの操作で表示メッセージを切り替える場合は、
    全行連続表示→1行目のみ→2行目のみ→...→最終行のみ→切→
の繰り返しとなります。ここで、「切」は電源オフで、これを使えば電源スイッチを省略して電池を常時接続できます。メッセージを切り替える必要がない場合は押しボタンスイッチは必要ありません。
解像度と文字フォント 80×16ドットの表示領域に16×16ドットの文字を5文字表示できます。文字フォントはbdf形式で公開されている東雲フォント[4]の8×16ドットおよび16×16ドットを使いました。他のbdfフォントでも表示できますが、著作権には注意を払う必要があります。なお、文字フォントをすべてメモリ上に持つことはできませんので、変換プログラム(telop.awk)を用いて、表示するテキストファイル中で使われている文字のフォントデータだけをbdfファイルから抽出し、フォントデータファイル(font.c)を生成するようにしました。なお、bdfフォントファイルへのパスを、telop.awkの先頭部分に記述しておく必要があります。
接続方法 テレビのビデオ入力端子に接続します。 ビデオ機器(VTRやDVD)のアナログビデオ出力とテレビのビデオ入力端子の間に接続します。テレビの内蔵チューナの表示画像にオーバレイ表示することはできません。
ビデオ信号 規格外のインチキビデオ信号のため、テレビによってはうまく表示できないことがあるかもしれません。 ビデオ機器の画像に文字がオーバレイ表示されます。入力信号が無い場合は同期信号が付加され、文字が表示されます。
メッセージの書込み メッセージはパソコンにテキストファイルとして作成しておきます。メッセージを書き込むためには、書き込み装置を用意し、パソコンにWinAVR(20060421版)と書き込みソフト(avrspx)をインストールしておく必要があります。その上で、バッチファイル(telop.bat/overlay.bat)のショートカットを作り、作成したショートカットのアイコンにテキストファイルのアイコンをドラッグ&ドロップすると、書き込みを行うことができます。
電源DC 3V 8mADC 5V(ACアダプタ使用)
回路図 回路図 回路図
プログラム telop.c, font.c, telop.bat
(font.cはbdfフォントをtelop.awkで変換して作成)
overlay.c, font.c, overlay.bat
(font.cはbdfフォントをtelop.awkで変換して作成)
製作例 ビデオテロッパー装置写真
(40×5×20mm)
ビデオテロッパー装置写真
(40×5×20mm)

2. メモ

 マイコンはATMEL社のAVRマイコンATtiny45Vを使いました。ビデオ信号の発生方法については、主にBruce Land氏の資料[1][2]を参考にしました。プログラムはWinAVR(20060421版)のgcc-avrで「-Os」オプションでコンパイルします。内蔵SRAM 512バイトの内192バイトを96×16ピクセルのVRAM(実際の表示は80×16ピクセル)として使っています。

 CPUはサブキャリアの4倍のクロック周波数(14.32MHz)で動作し、サブキャリアのバースト信号に対して位相を90°ずつ変えることにより、4色を表現しています。ただし、タイミングもレベルも規格外のインチキビデオ信号ですから、テレビによってはうまく表示できないことがあるかもしれません。また、クロック周波数(14.32MHz)はATtiny85Vの定格を超えています。

 オーバレイ表示は、ジッター(ゆらぎ)が大きく実用にならないのではないかと思っていました。しかし、Gary Dion氏の資料[3]を見て、実際に試してみると、思ったほどジッターは気になりませんでした。

(参考資料)

[1] Bruce Land: AVR Video Generator with an AVR Mega163, Atmel Application Journal, Vol.3, pp.8-10(2004).
[2] Bruce Land: Video Generation with Atmel AVR microcontrollers(Cornell Univ. EE476), http://instruct1.cit.cornell.edu/courses/ee476/video/
[3] Gary Dion: Atmel AVR ATmega8 Video Overlay Project, http://garydion.com/projects/videoverlay/
[4] 東雲フォント, http://openlab.ring.gr.jp/efont/shinonome/index.html.ja


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