「弘前市には、外国の人が何人くらい住んでいるの?」
お姉さんのユミちゃんが帰ってくるなり、お母さんに聞いている。
学校で世界の国々について勉強しているらしい。教科書では日本に来ている人が多い国として、
日本全国では、約350万人も来ているらしい。
「実際に弘前市に住んでいる人はどのくらいなのかしらね?」
お母さんも首をかしげている。
ユミちゃんは、さっそく市役所に電話をかけて聞いてみた。
きちんと登録している人は次のようになっている。
「中国の人が多いというのは意外だ。」
お父さんがびっくりしていた。
お父さんの知り合いの人のお話では、弘前大学には、たくさんの国から留学生が来ているということだった。
桔梗野小学校のすぐとなりに、外国人留学生のための宿泊施設「国際交流会館」がある。
平成6年7月に完成したもので、入居している人は21人。単身の人が多いが、夫婦や家族できている方もいる。
弘前大学の学生課の方にお願いして、中国の方を紹介していただいた。土曜日、お姉さんのユミちゃん、ジュンちゃん、そしてお母さんの 三人は国際交流会館へと出かけていった。
張さんはママさん留学生だ。息子の冬陽(とうよう)君を桔梗野小に通わせながら、弘前大学の農学部で勉強している。
「はじめは慣れないことばかりで大変でしたが、弘前の人々や大学の方々に親切にしていただいて楽しい毎日を過ごしています」と話して下さった。
中国の食物や衣服、子どもの生活など、ユミちゃんの質問にも一生懸命答えて下さった。日本語がものすごく上手だ。
冬陽君(四年生)は五才のころから日本に来ている。ジュンちゃんと同じくらいの身長で日本の子どもとほとんど変わらない。街で会っても中国の子とは気づかないにちがいない。張さんと冬陽くんは間もなく中国へ帰る。去年まで弘前大学の医学部で勉強していたお父さんが中国で待っている。
「私だったら子どもと二人だけ外国で勉強できるかしら?」
ユミちゃんのお母さんが考えこんでいた。