「NTTの弘前エリア(区域)にある電柱を全部合わせて,南の方に向かって立てていくと、どの辺までいくでしょう。」
夕食の時、ジュンちゃんが、パンフレットを見ながら皆に質問している。
今日ジュンちゃんたちの学校では、社会見学でがあって、NTT弘前支店に行ってきたのである。
「秋田県のはずれ?」
「山形県までかな?」
お母さんとお姉さんのユミちゃんが頭をひねっている。
「街にある電柱のように三十メートルぐらい間を開けると、東京までいくかもしれないね」
お父さんはさすがに鋭い。
「正解は、九州です」
と、ジュンちゃんが得意そうに言うのを聞いてみんなびっくり。
「ケーブルの長さを合わせると、弘前市から九州まで行って帰ってきて、さらに東京までいくくらいあるんだよ。」
ジュンちゃんが続けて言った。
「電話ってすごいんだね。NTTの見学は楽しかった?」
お母さんがたずねると、ジュンちゃんは次から次へと見てきたことを語り始めた。
「お母さんも一度見学してみるといいよ。」
と言うジュンちゃん。実は本当のねらいは他のところにあるらしい。社会見学では見せてもらえなかった、
地下の大坑道の見学をねらっているらしい。弘前エリアにある約十九万台の電話が、太いケーブル線で弘前NTT支店の地下を通って集められているという。ジュンちゃんはSFに出てくるような地下実験室の通路を想像してしまう。
お母さんをすっかりその気にさせて、NTTに連れ出したジュンちゃん。社会科見学で覚えたことを、得意顔で教えて歩く。コンピューターがたくさん並んだ「104番」の電話番号案内。「113番」の故障受け付け、「116番」のご注文受け付け、どこもすっかり機械化されていて、お母さんも興味深く見学していた。
いよいよ地下の坑道へ・・・・。
ここは、特別の場合でないと人を入れないというので、お父さんからも特別お願いしてもらったのである。
「これが19万台の電話につながっている 電話線の集団だ・・・・この先にある線を合わせると弘前から九州までの1往復半か・・・」
ジュンちゃんは、学級の誰よりも物知りになったような気がして大満足である。
「電話線の管理や工事をするラインマンセンターにも行きたいなあ ・・・」
次の見学を楽しみにしているジュンちゃんである。