ジュンちゃんの今日の探険場所は「弘前丸魚(まるうお)」。
水産業の勉強をした時に、先生が
「みなさんの食べている魚などは弘前丸魚という卸売市場からスーパーなどに運ばれるのですよ。」
とお話して下さった。
何でも自分の眼で確かめてみたいジュンちゃんのこと、さっそく次の日お父さんに頼み込んで弘前丸魚へと出かけることになった。
卸売市場の朝は早い。「せり」が朝の五時半頃からもう始められている。小学校の体育館ほどの広さの所にたくさんの魚箱などがあふれている。
まだ朝もやがたちこめているが、場内にはせりに参加する人々の活気がみなぎっている。見学用につくられている二階のベランダからのぞきこんでいるジュンちゃんとお父さんの耳に意味のよくわからない専門の言葉が響く。仲買人と呼ばれる人たちの顔は真剣そのもの。威勢よい掛け声が響きわたり、次々と水産物の買い手が決まっていく。
「ここには、青森県内だけでなく北海道、三陸、東京、新潟、兵庫、大阪など、全国各地から水産物が集まってきます。」
営業の係の人のお話を聞いて、ジュンちゃんはびっくり。一日に平均五十~六十台ものトラックが各地からこの弘前丸魚にやって来るというのです。トラックの中には、夕方到着するものもあれば、みんなが寝静まった真夜中に到着するものもあるということだ。
せりで買い手の決まった水産物は、仲買いの人たちが経営する店ですぐに販売されていた。せりが行なわれた「卸売場」のすぐとなりに店があり、魚屋さんたちは、この店に自家用のトラックで買い出しに来ていた。ジュンちゃんのお母さんがよく買物にいく近所のスーパーや駅前にある大きなスーパーの中の魚屋さんの車を発見して、ジュンちゃんはうれしくなった。
弘前丸魚の方が、
「水産物の輸送に飛行機が使われるようになってから、海外のおいしいものもたくさん弘前に届けられるようになりました。」
と話して下さった。外国から水産物がたくさん輸入されることを知ってお父さんもびっくりしていた。ふだんよく食べているエビがほとんど外国産であるということ、また、カニやさばも日本産の物がほとんどないということを聞いてショックを受けてしまった。
「日本の水産業についてしっかりべんきょうしなけれはけないね。」
お父さんもそうっていた。弘前丸魚でたくさんの発見をしたジュンちゃん。次の探険をとても楽しみしている。