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金井晴生 | 2002年01月21日(月) 05時20分 | 210.165.162.167 Mozilla/4.75 [ja] (Win95; U) |
太田君への回答 基本的な認識として、為替「相場」とはあくまでも「相対の世界」だということを忘れてはなりません。 例えば、「日本経済は98年より悪化するだろうから、1ドル=150−160円になるだろう。それが日本にとって良いことだ」 一見尤もらしい理屈だが、「円安論」の常套手段は、対価である米国(或いはヨーロッパやアジア)について一切言及しないことです。 まず、太田君の@−Bの指摘全てについて、米国サイドからも考えて見て下さい。 @日本が通貨主権を放棄して「ドル化」するなら話は別ですが、日本がドル資産で利を得るためには、遅かれ早かれいつか、「円」に転換しなければなりません。1兆ドルの資産を売ったら、1ドルいくらになると思います? 逆に、外人が保有する円資産は、円安誘導すると損になりますね。 日本のドル資産は、米国の負債です。前回指摘したように、この不均衡が天文学的なものとなってしまいました。年間経常赤字4000億ドルの米国が、この借金を返済できるとは、私には思えません。 A「日本の黒字が減少するから、円安になる」というのも、一見尤もらしい理屈だが、嘘。 米国の経常赤字が急増しているのに、こんなドル高になったではありませんか。今や、外為市場で経常取引は数%に過ぎず、資本取引が相場を決定しているからです。端的に言えば、ゼロ金利と介入のせいですね。 円が強くなり、アジアや中国に生産拠点が移っていくのは、極めて経済合理的です。戦後の日本も同じ道を歩んできたのでしょう。共存共栄、それが近隣諸国の経済力を高め、延いては日本に跳ね返ってくることでしょう。そうした産業構造の転換が、日本の内需主導の自律的な経済発展をもたらす筈です。 B財政破綻のようですが、日本は外国に借金していません。要は、ゼロ金利と円安誘導で、経済の血液であるお金=円が日本国内で動いていないということ。 じゃあ、日本はどうしたいいのか? ベルリンの壁崩壊後の価格調整である「大競争デフレ時代」はまだ続くでしょうが、米欧も漸く物価が下落、そのことを確認しつつあります。日本に遅れること実に10年!米欧はこれから長くて苦しい道程を歩まねばなりません。 最早「ジャパン・バッシング」はあり得ません。 強くなろうとしても、強くなれない、ユーロ。 強いドル政策が日本によって支えられている、米国。 弱い通貨を志向する、日本。 もうこんなことは止めにして、これら3極が等しく強い通貨を目指して、世界的金融不均衡を是正することが、日本再生の必要十分条件でしょう。 最も手っ取り早い方法は、資本主義の信用創造と経済合理性を機能させること。つまり、ゼロ金利政策と、「日本売り」を強要する円安誘導政策をストップすることです。 早速数十兆円が「日本買い」してくるでしょう。 さもなくば、「暗黒の木曜日」を待つしかないと思います。 久松君への回答 @外為市場は株式市場より大きい。だからドル買い・円売り介入で日本株と米株を操作できるし、為替相場が日米株価に大きな影響を与える。 ベルリンの壁崩壊後の「大競争デフレ=構造改革市場」は外為市場より遥かに巨大だから、円安はデフレ防止にはならない。 Aグリーンスパンは、IT革命による生産性の向上(確か、100年に一度の出来事とか言っていた?)を指摘していましたが、私は、ドル買い・円売り介入による「一極集中」が米株高とバブルを「人工的に」作ったに過ぎない、と思っています。 95年以来の日本の介入は「神の見えざる手」を冒涜しましたから、米国のバブル崩壊のスケールは想像を絶するものになる、と考えています。 B9月11日「悲劇」の後の株高は、その時の史上最大のドル押し上げ・円売り介入によるものであり、米国の早期回復というのは「幻想」に過ぎない、と思っています。 ダウ1万ドルを維持するためには、ジャパン・マネーによって1ドル=130−140円にしなければならない。 しかし、ドル高・円安になればばるほど米企業は競争力を失い、収益は落ち込み、株式市場は益々割高になる。−「帝国循環」の行き詰まり。 意見交換できたこと、とても刺激になりました。深謝! そう言えば、謙三はとっても紳士的でした。 |
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